クールな王太子の新妻への溺愛誓約
おもむろに立ち上がったレオンがベティに体を向ける。とても真剣な表情だ。
「なんでございましょうか」
体の前で両手を重ね、ベティはかしこまった。
「今夜ひと晩、私がここにいることを許可してもらいたい。記憶を取り戻したからこそ不安だろうから。そばにいてやりたい」
ベティは目と口を開き、ポカンとしてしまった。
突然のお願いごとに驚くのも無理はない。結婚前にひと晩を共に過ごしたいと言っているのだから。
ただベティも、レオンに下心があるとは思っていないようだ。すぐに穏やかな表情へと戻り、「レオン殿下がご一緒なら、マリアンヌ様――いえ、クレア様も心強いでしょう」と鷹揚に頷いた。
ベティの言うとおりだ。記憶が戻り、頭の中の整理がまだつかない。自分はクレアだとはっきり自覚したものの、この部屋でひとり夜を越すのは心許ないから。おそらく七年前に盗賊に襲われたシーンを何度も夢に見て、うなされてしまうだろう。
レオンがそばにいてくれれば、これほど心強いものはない。