クールな王太子の新妻への溺愛誓約
「やはり、“様”はお付けしたいですし、言葉づかいもこのままで」
クレアが迷った末にそう言うと、レオンは小さく息を吐いた。
(もしかして怒らせちゃった?)
クレアが不安げにレオンの顔色を窺う。
するとレオンは、もういっぽうの手でクレアの頬を撫でた。怒っているというより、諦めにも似たような表情だ。その目が“仕方がないな”と言っているように見える。
「まぁ無理強いもよくないだろう」
「ありがとうございます」
パッと顔を輝かせたクレアを見て、レオンは笑みを浮かべた。
「ところで、大丈夫なのか?」
レオンが心配そうに尋ねる。
クレアの目の奥を覗き込むようにした。
レオンは突然戻った記憶のことを言っているのだろう。
「……大丈夫、です」
自分自身に言い聞かせるように、クレアがゆっくりと答える。