クールな王太子の新妻への溺愛誓約
本音を言えば、大丈夫と言い切れない部分もある。両親が殺められるところを思い出したのだ。七年前のこととはいえ、処理しきれることではない。
レオンのことだけを思い出せたのなら、どれほどよかったか。残念ながら、そんなに都合のいいことがあるはずはない。
「なにも怖がることはない。私がついているから」
無意識に沈んだ表情をしていたクレアに気づいたレオンが、そっと彼女を抱き寄せる。
レオンに優しく背中を撫でられ、さざ波立っていたマリアンヌの心が次第に落ち着いていく。簡単に割り切れないことに変わりはないが、幼い頃から力強く優しい手を差し伸べてくれたレオンがそばにいる。
そのレオンと数日後には結婚できる。それだけで幸せだと思えた。
「レオン様……ありがとうございます」
クレアは、レオンを抱きしめ返すことで気持ちを伝えたかった。
しばらくそうして抱き合った後、クレアが口を開く。
「レオン様、お願いがあります」
レオンはクレアをそっと引きはがした。