クールな王太子の新妻への溺愛誓約

着替えを済ませ、ベティの案内でマートの部屋へと向かった。
宮殿の西館の一階。そこにマートの部屋はあった。ドアの前には二人が警護に付いている。

ベティがノックをすると、中からマートの声で「はい」と返る。

ドアをそっと開けてクレアが顔を覗かせると、ベッドに横になっていたマートは水揚げされた魚のように飛び上がった。怪我をしているというのに大丈夫なのか。


「マリアンヌ様!?」


マートはまだ、“クレアの一件”を知らない。ベッドに起き上がったマートの左腕には、包帯が巻かれていた。


「マート、気にせず寝ていて」


クレアが制するが、マートは「いいえ、そういうわけには参りません」と聞かない。


「怪我の具合はどう?」

「マリアンヌ様のご心配には及びません。このとおり――うっ……」


腕を持ち上げた途端、マートがうめき声を上げる。

< 215 / 286 >

この作品をシェア

pagetop