クールな王太子の新妻への溺愛誓約

フィアーコへ来たばかりの頃、湯浴みを手伝ってくれた侍女のパトリシアは、その話を聞くや否やクレアの部屋へとやって来た。相当興奮しているようで、頬が上気している。


「クレア様が生きていたなんて!」


パトリシアは両手を胸の前で組み、目をキラキラと輝かせた。


「私のことを覚えていらっしゃいますか? 噴水広場近くにあった花屋の――」

「え!? あのパトリシアだったの!? いつも私にこっそりと花の種をくれた?」


クレアも負けじと興奮いっぱいにパトリシアを遮る。パトリシアはタカマッサ出身だったのだ。


「ええ、そうです! 覚えていてくださったなんて光栄です!」


パトリシアの手をクレアが取る。


「もちろん、覚えているわ! もらった種たちは、いつも王宮の庭で立派な花を咲かせてくれたもの」

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