クールな王太子の新妻への溺愛誓約
初めて名前を呼ばれ、心臓がドクンと音を立てる。驚愕の表情でレオンを見た。
「……どうかしたのか」
レオンに問われ、「いえ」と軽く首を横に振る。
名前で呼んでくれたことを指摘して、レオンの機嫌を損ねたくはない。
「ところで、さっき弾いていたのはなんていう曲ですか?」
それでも嬉しさを隠しきれずに満面の笑みで尋ねた。
「タイトルはない」
「そう、なんですか。……なんだかひどく懐かしい気がしたのですが」
「……懐かしい?」
レオンが目を険しく細める。訝しげな表情だ。
「はい……」
「そんなはずはない。この曲は私が作ったものなのだから」
レオンはきっぱりと言い放った。