クールな王太子の新妻への溺愛誓約
つまり、ほかの誰も知り得ない。異国に住んでいたマリアンヌではなおさらだとレオンは言いたかったようだ。
「そうですか……」
マリアンヌは一瞬顔を曇らせたが、持ち前の明るさですぐに気分を持ち直す。
「でも、引き込まれてしまいました。素敵な曲です」
またいつか聞かせてほしい。マリアンヌはそう強く願った。
「そろそろ部屋に戻った方がいい」
「はい」
この夜更けに、さすがにこれ以上は体に障るだろう。レオンには明日も政務が控えている。今度はマリアンヌも素直に従った。
「部屋まで送る」
事務的に言うレオンだったがマリアンヌは嬉しさを隠しきれず、ステップを踏むように足を数歩後退させる。
ところがその拍子に段差から足が滑り、体が大きく傾いた。