クールな王太子の新妻への溺愛誓約
なにより、レオンの腕の感触がまだ残っている。握られた手にも引き寄せられた腰にも。その一瞬を思い返すだけで息が詰まるほどだった。
「あの……さきほどはありがとうございました」
部屋の前でお礼を言うと、レオンは別段表情を変えるわけでもなく「ああ」と短く答えるだけだった。
「レ、レオン様」
立ち去りかけたレオンを呼び止める。
「明日、街へ行きたいのですが……」
本当は“一緒に”と言いたいところだが、一度断られた手前言えなかった。
「好きにするがいい」
そう言って足を踏み出そうとしたレオンが肩越しに振り返る。
「警護の者を付けよう」
「いえ、ベティがいれば大丈夫です」