クールな王太子の新妻への溺愛誓約

◇◇◇

「マリアンヌ様、それでいったい何度目ですか?」


翌朝、朝食を食べに向かう途中、マリアンヌのうしろを歩くベティが釘を刺すように言う。
欠伸のことを言っているのだ。マリアンヌは、起きた時から何度となく欠伸をかみ殺していた。


「昨夜はいつもよりお早い就寝だったというのに」

「だって仕方ないのよ」

「なにが仕方ないのでございますか」


言い訳を始めたマリアンヌにベティが呆れたように言う。


「レオン様と一緒だったから」


マリアンヌが答えると、ベティは「はい!?」と素っ頓狂な声を上げた。品行方正な彼女にしては珍しく取り乱す。


「ちょっとお待ちくださいませ、マリアンヌ様」


マリアンヌの前に回り込み、ベティが行く手を遮る。

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