クールな王太子の新妻への溺愛誓約

ベティは驚きに目を見張り、白目の部分を血走らせていた。
鬼のような形相を見て、マリアンヌがぐっと息を飲む。


「ご結婚前だというのに、寝屋を共にされるなんて! アンニバーレ国王陛下とヴァネッサ殿下に合わせる顔が! いったいどうしてそんなことになるのですか!?」


どうやらベティはマリアンヌがレオンと一緒に寝た、つまり体を重ねてしまったと勘違いしたようだ。鼻息荒くマリアンヌの腕を強く握る。


「ちょっと待って、ベティ! なにか勘違いをしているわ!」

「なにが違うというのですか! レオン殿下とご一緒だった、すなわち……」


そこでベティが頬を赤く染める。


「だから、それが違うっていうの。お願いだから落ち着いて」


宥めるようにベティの手に自分の手を添える。
生真面目だからこその驚きだったのだろう。ベティはそれでもなお肩を上下させて興奮気味だ。

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