クールな王太子の新妻への溺愛誓約
◇◇◇
朝食をとり終えて部屋に戻り、ベティが淹れてくれたお茶を飲んでいると、ドアがノックされる音が響いた。
ベティが向かいドアを開ける。
「マート・コレットと申します。レオン殿下から仰せつかり、こちらへ馳せ参じました」
レオンがマリアンヌに付けてくれるという警護の者だ。王宮に仕えるようになって二ヶ月弱と短いが、剣の腕前と真面目なところをレオンに気に入られ、他に類を見ない早さで側近となった経緯がある。
マリアンヌも立ち上がり、ドアへと向かった。
「マリアンヌです。今日はお忙しいところ、私のわがままにお付き合いくださるとのこと、ありがとうございます」
ドレスを摘み、膝を折り曲げる。
マートはマリアンヌをひと目見て、ボーっと呆けたように突っ立った。
歳はレオンと同じくらいか、少し下だろう。くりっとした目がかわいらしく、栗色のくせ毛と相まって全体的に柔らかい印象だ。
「あの……?」