クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「では、こちらのミートパイはいかがでございますか?」


メイに差し出され、それをふたつに割る。


「はい、レオン様、どうぞ」


急に口もとにパンをあてがわれたレオンは、観察するようにじっとパンを見た。


「おいしいですから、食べてみてください」


周りに集まった人たちの視線が、一斉にレオンへ注がれる。どんな反応をするのか固唾を飲んで見守っていた。


「はい、どうぞ」


もう一度マリアンヌが言うと、レオンはミートパイを手に取り大きくかぶりついた。

(どうかしら……)

マリアンヌが見つめる中、レオンの顔がパッと明るくなる。


「……うまいな」


レオンがポツリと呟いた感想に、メイが「そうでございましょう!?」と手放しで喜ぶ。

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