同居相手はまさかの!?
会議室を出ると、菅原が立っていた。


「…お疲れ。」


「お疲れ様です。」


そう言って、立ち去ろうとしたその時


「この前小野田と会ったよ。」


そう口を開いた。


(…何で俺に言うんだ?)


「そうですか。」


「あれ、焦らないんだ。」


(…何だこいつ。先週から俺に突っかかって来る…。)


「どうして俺が焦らないと行けないんですか?」


「君と小野田が付き合ってると思ってたからさ。」


(…やっぱりコピーの時、見てたのか。)


「…そんな訳ないでしょ。」


「ああ、違うか。《疑似恋人で疑似同居なだけか》」


そう言って、俺に写真を見せた。


それは、俺と茉莉があの家に入っていく姿が写されていた写真だった。


(…どうしてこれを!)


「これ、君だよね?」


「…あんた一体何だよ。」


「俺?俺は君と同じだよ。」


…俺と同じ?


「俺は君の会社Destinyのスパイだよ。」


…こいつが叔父さんが送ったスパイ…?


「俺の役目は、君と小野田の監視役」


…監視?


「君は小野田友莉に復讐の為に小野田に近づいてるんだろ?」


(バレてる…!?」


「…どうしてそれを。」


「君のお父さんが利用していた婚活サイトhappinessの社長の息子が俺だからだよ。」


その時俺の鼓動が早くなった。


「君の母親が亡くなってしまった原因のね…」


「お前!」


俺は、菅原の胸グラを掴んだ。


「茉莉には手を出すな!」



「…それ。お前が言うことか?」



菅原はそう言って手を離した。


「現にお前は、復讐の為に小野田に近づいた。
それで彼女は悲しんだんだ。
…そんなお前が言える立場だと思ってるのか?
お前のせいで小野田は苦しんだんだぞ!」


返す言葉もなかった。


…菅原の言う通りだ。


「俺はスパイだが、少なくともお前よりは小野田を悲しませたりしない。
復讐の為に小野田を利用なんてしない。」


「………」


「小野田はこれから俺が守る。お前は復讐だけしてろ」


そう言って帰って行った。


俺は菅原に言われるがまま、しばらく呆然と立ち突くしていた。


俺達に、奇妙な【三角関係】が出来てしまった。





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