同居相手はまさかの!?
第29話森崎仁
【茉莉side】

「………」


「………」


藤堂君はあたしから腕をすっと離した。



「…茉莉の事、嫌いじゃねえよ」




…え?


「だって、前はあたしの事そんなふうに見えないって」


「…ごめん。確かに前はそう言った。
あの時俺は後悔した。茉莉を振った事ずっと後悔してたんだ。」


「…藤堂君。」


「…でも。」


あたしは、藤堂君の言葉を黙って聞いた。


「俺は茉莉と一緒にはなれない。
茉莉の事は好きだけど…。」 


「…どうして?」


そう言って藤堂君は悲しい目をした。


(…藤堂君?) 



「…ごめん。」


そう言ってまたあたしから離れた。


「…でも茉莉の事は好きだから。」


そう言って、帰って行った。


あたしは、帰って行く藤堂君の後姿を見つめた。


「…藤堂君。」



一緒になれないってどういう事…?


近づいたと思った距離は、また遠くなった。


「…藤堂君。」


…教えてよ。


あなたはあたしに他に何を隠してるの?









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