わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
しばらく待ったけれど反応がないので、姫は薄目を開けてみた。
先生がいない!
なんで?
これって、浦島太郎よりひどくない?
姫は寝ていたベッドから起き上がると、キョロキョロ辺りを見渡した。
すると、ドアから先生が入ってきた。
「もう、先生、ひどい。急にいなくなるなんて」
「ごめん、ごめん。冷えてきたようだから、温かい飲み物をと思って、ハーブティーを淹れてきたよ。さぁ、どうぞ」
ガラスのティーカップからは、湯気が立ち上っている。