わたしがまだ姫と呼ばれていたころ
その夜、最初の悩める女子は同級生のリナだった。
リナは学部も学科も同じで、この女子寮に入って最初にできた友達だ。
「姫、聞いて~。好きな人ができたの」
「え?」
「ひとめぼれ!」
「あれ? リナ、今つきあってる人、いるよね?」
「うん」
「その人以外に、ってこと?」
「そう。ふたりとも、好きなの」
「で? リナはどうしたいの」
「うーん。だから、姫に相談に来たんだよ」
「まず、確認しておくね。リナは、どうしたいの?」
「リナは」のところを強調して、姫はもう一度尋ねた。