不機嫌なジェミニ
翌日朝寝坊をして起きると、やっぱりジンさんの腕の中だった。

首の後ろに当てられた腕がちょうど良い枕だし、
ジンさんに抱きしめられていると、暖かくて寝心地が良くて私はいつもぐーぐーねているみたいだ。

「今日はどこかドライブ行こうか?
部屋にいると、ベッドの中にいるだけになりそうだし、どこに行きたい?」と私を抱きしめたまま、ジンさんは私の顔を覗く。

「えーと…」と考えていると、

「遊園地?動物園?水族館?」

そのラインナップはお子様の定番のような…

でも…


「動物園!」と言うと、

「動物園って何年振りかな。シャワー浴びよう」と笑い、私を抱き上げバスルームに向かった。


ジンさんは私の髪を柔らかい手つきで洗い、
私用のスポンジにボディーソープを付けて渡してくれ、
背中は手のひらでゆっくり洗うっていうのが
バスルームで恒例になってきている。
私はギクシャクとシャワーの下でスポンジを動かして自分の身体を洗う。

「トウコ、俺も洗って」とジンさんに言われ、固まると、

「冗談」とクスッと笑って私を後ろから抱きしめて

「はい、おしまい。」とバスルームを押し出された。


…ジンさんの馬鹿。
恥ずかしいでしょ。

でも、少し寂しそうだったかな?

ふつう…恋人の背中とか洗ったりするのだろうか…?

私は男に人と付き合うのが初めてだから、どうやって恋人と過ごすものかがよくわからない…

















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