不機嫌なジェミニ
私はフワフワの手触りのバスタオルで身体を拭いて、持ってきた下着を身につけ、部屋着を被ると
ジンさんが下着だけでバスルームから出てくる。

ジンさんの髪から雫が落ちているので思わず伸び上がって、バスタオルをかぶせると、

「髪は拭いてくれるんだ」と言って、私の手を引きベッドに座って私を見上げる。

拭いて欲しいの?

「…ジンさん、子どもみたい」
と私が髪を拭きはじめると、
満足そうに目を閉じて私の腰に両手を回して、
ジンさんの開いた足の間に入れ、ゆるく抱きしめる。

少し癖のある短い髪。濡れると、くるんって癖が強くなるんだね。

「はい。おしまい」と私が言うと、

「トウコ、キスして」と目を閉じたままで呟くように言うので、膝に座ってそっと唇を付けると、
ジンさんは柔らかく私の頭の後ろに手を当てて、甘くくちづけを繰り返す。

「これ、やべー。出かけられなくなるな」とゆっくり唇を離して、私をぎゅうと抱きしめ、

「着替えて外で飯にしよう。
俺この部屋にいると、又、トウコをベッドに押し倒しそう。」

と私の瞳を覗き込んで微笑んだ。
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