不機嫌なジェミニ
電車を降りて、改札を抜けると、

改札の向こう側にジンさんの姿があった。


「ジンさん…おはようございます。早いんですね…」

と隣に立って私が言うと、

周りに人が沢山通り過ぎて行くのに、私をぎゅっと抱きしめ、

「怒ってるのかトウコ。…昨日帰ったのが2時を過ぎてたから、
もう寝てると思って連絡しなかった。
朝、連絡しても出なくて…家に電話したら、もう仕事に行ったって…
香澄ちゃんに言われたんだ。
…ごめん。帰った時にメッセージだけでもいれればよかったな。
本当はトウコに会いたくて朝御飯一緒に食べようって…
そう言いたかったんだ…」

と私の瞳を覗く。

私はジンさんに微笑み返しながら、

「帰りが遅いって…心配しただけです。
朝ご飯一緒に食べたいです。」

「パンケーキ奢るよ」

とジンさんは私と手を繋いで歩きだした。

「はい!」

と私は明るい声をだす。


あまり欲張っちゃダメだ。

こんなにジンさんが一緒にいてくれるんだから…



昨日は誰と一緒にいようが

ジンさんは今はここにいる。

私は自分に言い聞かせ、

ジンさんの手をぎゅっと握って笑顔で歩いた。
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