不機嫌なジェミニ
「俺にはトウコ以外にオンナはいない」

と言い聞かせるように私の顔を覗く。

「…うそ」

「嘘じゃない。好きなオンナがいたら、よそ見できるか?
トウコは鈍感だから、必死に口説いて、
近づくオトコを追い払って、やっと俺の横で眠るようになったところなのに…
他のオンナにかまっているヒマはないよ。
今も思い込みで、俺から距離を取ろうとしてるし…」

「…カノジョさん達がいるって…」

「そんなのとっくにいないよ。トウコに出会ってからトウコしか見てないし…」

本当に?

「トウコはとっくに俺を独り占めだよ。」

と、髪をくしゃくしゃと撫でて、固く抱きしめる。

「俺はもう、遠慮しなくていいんだよな。
トウコが離れていきそうですごく怖かった。
トウコ、一緒にくらそう。
俺の部屋に引っ越しておいで。
一緒にいないとまた、トウコがおかしな誤解をして、また、離れていきそうだしな。
これからは不安な事は勝手に考えこまずに、俺に話すこと。わかった?」

とジンさんは半ば呆れた顔をして、それでもとても満足そうに私の瞳を覗いている。

本当に?
私よりずっと大人のジンさんを
私が独り占めにしていいの?

「本当に?」

と泣きながら繰り返して聞く私に
ジンさんは何度も

「一緒にくらそう。引っ越しておいで」

そう言ってなだめるように
何度も私の唇にくちづけをした。
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