不機嫌なジェミニ
3年前、私とジンさんは結婚式を終えた後、

ローマの郊外の一軒家で生活する事になった。
(大きなお屋敷のような一軒家でもちろん日本語のわかるお手伝いさんも、運転手さんもいる。)

ジンさんのお世話がかりの蘭子さんが日本と、
ローマを行ったり来たりしてくれて、
私達と1ヶ月の半分を過ごし、後の半分を日本での仕事に当ててくれた。

まあ、ローマにいる時は半分仕事で、
半分は観光に当てたり、オペラを鑑賞し、
美術館に通ったりして過ごしていたみたいだけれども…

ジンさんも会議や接待もなかったので、のんびりと生活をしながら、私の送り迎えやら、買い物やら、様々な雑用をこなしながら、
仕事をし、
とても楽しそうに生活をしていた。

私は問題なイタリア語に振り回されながらも、
真面目にアルテミスに通って、
沢山の美術品の宝庫のようなローマを観光したりもして生活を送っていたけど、

1年経って妊娠していることがわかり、(それも双子。)
留学を断念しようとしたけれど、
案外アルテミスは寛容で、産休育休を取って、また戻って勉強したら…と
あっさり、留学期間が延長されたのだ。

ジンさんもローマが気に入っていたので、戻れるようになったら、戻ろうか?

ってのんびりで、

妊娠6ヶ月で日本に戻って出産し、
出産後、6ヶ月ほどでローマに戻って留学をもう1年間する事になった。

その際にベビーシッターを雇う予定だったのだけど、

「私が一緒にローマに行く。」

と香澄が立候補して、ローマについてくると言い、

「私も後1年なら一緒に住む。」

と蘭子さんも手を挙げた。



ふたりとも期間限定のバカンスを楽しむ事にしたようだ。


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