不機嫌なジェミニ
「じ、ジンさん、『A』の会議室ってどこですか?」
と4階のドアをもらったばかりの社員証をかざして開けて、
内側のエレベーターの前で立ち止まると、ジンさんは6階のボタンを押す。
「トウコ、おまえも会議でて。」
「へ?」
「新しいブランドの話だから…
セイジがリーダーでおまえは見習い兼デザイナーね。
若者向けのカジュアルで個性的なジュエリーブランド。ってかんじ。
『アクエリアス』より、『ジェミニ』はアートなイメージを全面に押し出す戦略なんだ。
おまえのおとぎの国っぽいデザインを俺は気に入って採用したんだ。
まあ、…まだまだだけどな。」と私の頭をポンと叩いて、やって来たエレベーターに乗り込んだ。
…本当にジュエリーデザイナーで採用されるんだ。
私は嬉しくなって、瞳をウルウルさせて、ジンさんを見上げると、
「喜ぶのはまだ早いぞ。上手くデザインができなきゃ、直ぐにお払い箱だ。」
「は、はい!頑張ります!!」と私はジンさんの横にたち、嬉しい顔をなんとか抑え、真面目な顔をつくる。
「おまえ、顔が笑ってる」とジンさんはふっと柔らかい笑顔をみせる。
「…だって、嬉しいです!ずっとジュエリーデザイナーが夢だったんです。一生懸命やります!」と力んで言うと、
「あたりまえだ。いくぞ」と真面目な顔を作ってジンさんはエレベーターを降りる。
私が弾む心を抑えて、
「はい!!」と大きな声をだすと、
「いま、『わん!』って返事しただろ。」と目を見開いて私の顔をみる。
「…するわけないでしょ!犬じゃないんですから!」と怒ると、
「そうか?いま絶対『わん』って聞こえたけど…」とクスクス笑った声がした。
…絶対からかって楽しんでる…
私が怒った顔のまま、横をプイッと向くと
前を歩くジンさんの
…やっぱ、小型犬…
といって肩を揺らし、笑いを含んだ呟きが聞こえた。
何がツボに入ったのかわからないけど、
初めて話したボスは見かけほど怖くなくて
やたらと楽しそうだ。
と少しホッとしていた。
と4階のドアをもらったばかりの社員証をかざして開けて、
内側のエレベーターの前で立ち止まると、ジンさんは6階のボタンを押す。
「トウコ、おまえも会議でて。」
「へ?」
「新しいブランドの話だから…
セイジがリーダーでおまえは見習い兼デザイナーね。
若者向けのカジュアルで個性的なジュエリーブランド。ってかんじ。
『アクエリアス』より、『ジェミニ』はアートなイメージを全面に押し出す戦略なんだ。
おまえのおとぎの国っぽいデザインを俺は気に入って採用したんだ。
まあ、…まだまだだけどな。」と私の頭をポンと叩いて、やって来たエレベーターに乗り込んだ。
…本当にジュエリーデザイナーで採用されるんだ。
私は嬉しくなって、瞳をウルウルさせて、ジンさんを見上げると、
「喜ぶのはまだ早いぞ。上手くデザインができなきゃ、直ぐにお払い箱だ。」
「は、はい!頑張ります!!」と私はジンさんの横にたち、嬉しい顔をなんとか抑え、真面目な顔をつくる。
「おまえ、顔が笑ってる」とジンさんはふっと柔らかい笑顔をみせる。
「…だって、嬉しいです!ずっとジュエリーデザイナーが夢だったんです。一生懸命やります!」と力んで言うと、
「あたりまえだ。いくぞ」と真面目な顔を作ってジンさんはエレベーターを降りる。
私が弾む心を抑えて、
「はい!!」と大きな声をだすと、
「いま、『わん!』って返事しただろ。」と目を見開いて私の顔をみる。
「…するわけないでしょ!犬じゃないんですから!」と怒ると、
「そうか?いま絶対『わん』って聞こえたけど…」とクスクス笑った声がした。
…絶対からかって楽しんでる…
私が怒った顔のまま、横をプイッと向くと
前を歩くジンさんの
…やっぱ、小型犬…
といって肩を揺らし、笑いを含んだ呟きが聞こえた。
何がツボに入ったのかわからないけど、
初めて話したボスは見かけほど怖くなくて
やたらと楽しそうだ。
と少しホッとしていた。