不機嫌なジェミニ
ジンさんの部屋のドアを開けると、玄関の内側で長いくちづけをされる。

そっと優しく何度も触れてから、
「トウコ。好きだよ」とジンさんは囁き、くちづけが深くなっていく。

私はつま先立ちでジンさんの首に手を回し、
熱いくちづけを受けた。
まだ、慣れなくて息の継ぎかたが分からず、
唇を離して息を継ぐと、また、直ぐにジンさんの唇が追ってきて、
「トウコは不器用だな」と笑ってまた、唇を深く重ねてくる。

頭の中でふたりのリップ音が響く。
もう、キチンと立っていられなくて、ジンさんの腕の中で力が抜けていく。

「続きはバスルームでしよう」と私の唇を音を立てて離し、抱き上げて、バスルームに向かう。

もう、一緒にお風呂って普通?ですか?

バスルームの前で降ろされ、くちづけを受けながら服を脱がされる。

手慣れている。さすがジンさんだ。

「あ、あのっ、明るいと…あのっ…」と一生懸命に言うと、

「…しょうがないな。」とくすんと笑って明かりをおとしてくれた。

薄暗いバスルームの中で一昨日のようにジンさんが髪と背中をあらってくれ、お風呂の中に沈むと、
ジンさんがこの間のように私の後ろに座って抱きしめてくる。
前よりジンさんに身体を預けていられるようになっただろうか…

「トウコ、あったかいな」とジンさんは耳のそばで囁きながら、柔らかく甘噛みする。

私の身体はピクンと反応してしまい、ちいさな声が出てしまう。

ジンさんに手を引かれバスタブから上がり、
バスタオルで身体を包まれてベッドに運ばれ、
ジンさんに組み伏せられる。

「他の男を見るなよ」と真っ直ぐに見つめてくる。

「そんな余裕はありません」と見つめ返すと、

「うん。そのままでいてくれ」と私の身体に唇を這わせる。

私がぎこちなくジンさんの背中に腕を回すと、

「明日仕事だから、今日は直ぐに寝かせてやる。」と柔らかく微笑み、私の胸の先に唇を付けた。


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