タイムリープ
✳︎

午前の講義と午後の講義を終えた私は、R大学を出た。

一日の講義が終わって私がR大学を出る頃には、冷たい雨が瑠璃色の夜空から降っていた。
辺りは薄暗くなり、等間隔に設置された街灯が灯りを灯している。

「一緒に帰ろ、梢」

「えっ！」

背後から柔らかい声が聞こえ、私の頭上にオレンジ色の傘が被せられた。振り向くと、笑っている詩織の姿が目に映った。

「ありがとう、詩織。私、傘忘れちゃって………」

「いいって、梢」

詩織は目を細めて、優しい口調で私に言った。

私は詩織に感謝しつつ、オレンジ色の傘に入れてもらった。
傘を叩く雨の音が、私の頭上から激しく聞こえる。

「ねぇ、梢。優太となんの話をしてたの？」

詩織が、私の方に視線を向けて訊いた。

「えっ！」

それを聞かれた瞬間、優太に告白されたことを思い出して私の鼓動がドキドキと激しくなった。
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