タイムリープ

「ちょっと、うれしいこと言われたの」

私は顔をリンゴのように赤くして、か細い声で言った。

「え、どんなこと？」

詩織が、目をキラキラと輝かせて私に訊く。

「告白されたの。優太に」

「えっ！」

その言葉を聞いた瞬間、詩織の口から微かに驚きの声が雨音に混じって聞こえた。

「私、ずっと優太のことが好きだったの。彼も、私のことが好きだったみたいでうれしかったぁ！」

「………」

「詩織も、好きな人がいるって言ってたよね？誰なの？」

私は、細い首をかしげて訊いた。

「………言ってんの？」

ザアザアと降りしきる雨の中、詩織がボソリと呟いた。

「詩織、言ってくれてたもんね。私に好きな人ができたら、応援するって」

「………」

「詩織に言ってなかったけど、ずっと私、優太のことが好きだったの。優太の恋愛、詩織応援してくれるよ………」

「あんた！さっきから、なに言ってんの？」

「えっ！」

突然、横から詩織の叫び声が私の耳に聞こえた。その叫び声を聞いて、私は目を丸くて驚いた。

横に視線を移すと、うっすら瞳に涙を溜めた詩織の姿が私の目に映った。

ーーーーーー泣いてる？

初めて見る今にも泣き出しそうな彼女の顔を見て、私は不安に思った。