クールな部長とときめき社内恋愛
「昼休みに休憩スペースで総務のやつに聞いたんだよ。お前、結婚相手探してるのかぁ?」

茶化すように言われて、いっきに恥ずかしくなった。周りの視線も気になって、頼んだレモンサワーを黙ったまま飲んで耐える。

「でもさ、いきなり“結婚したいと思う?”はないだろ。付き合ってもないのにそんなこと聞かれたら、この女重いかもと思って大体の男は引くって」

山村さん以外の人もうなずきながら笑っているのが聞こえて、この話を周りが聞いていることに居た堪れない気持ちになった。
他人からしてみれば引く質問だったかもしれないけど、わたしは聞かずにはいられなかったの。

「山村さん、明日は朝から会議がありますよね? あまり飲みすぎないように」

話が続きそうなとき、藤麻さんが山村さんに穏やかな声でそう言った。
今、気遣って話を変えてくれた……?

そこから話題は仕事の話へと移ったからほっとしたけど、治りかけの傷が痛むような感じがして、喋らないまま残りのお酒を飲み干すと、隣から視線を感じた。
藤麻さんがこちらを見ているような気がする。そんな質問を男にしたのかよって、やっぱり彼も思っただろうな。

わたし、いろいろと虚しいことになっている。
こちらの事情をなにも知らないくせに重い女と言われて笑われて、情けなく思えてきたわたしは、自棄になっていつもよりお酒のペースが速くなった。
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