クールな部長とときめき社内恋愛
「突然二課から飛び出しちゃって悪かったよ」

「別に問題ない。お前がいなくてせいせいしているから。三課で楽しく遊んでろよ」

春伸さんは冷たい態度でそう返し、わたしたちの横を通って部署のほうへ歩いていく。それを見つめていた藤麻さんの微笑が冷たいような気がした。

「あの……もしかして兄弟の仲悪いんですか?」

「ははは、全然そんなことないけど」

「いや、笑っているけど仲がとても悪そうな感じがしましたよ」

わたしに失礼なことを言ってくるときや、なにを考えているのかわからないときも大体穏やかなのに、春伸さんとのやりとりはピリピリしているように見えた。

「たった二年早く生まれたからってなんでも俺より先で偉そうなのがムカつくだけで、仲は普通だよ。たまに飯食いに行ったりするし」

でも今、ムカつくって言ったよね……。
気に入らないところはあっても、心の底から嫌いというわけではないのかな。兄弟の仲ってそういうもの?

自分には関係のないことなのにいろいろと考えてしまう。わたしと話すときの藤麻さんとは違う表情をしていたから、気になってしまうのかもしれない。

いつのまにかわたしよりも前を歩いて進みだした彼の背中を、わたしはぼうっと見つめていた。
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