クールな部長とときめき社内恋愛
「特別って、なにそれ? 並田さんは兄さんの同級生で昔から知っているだけだって、この前飲み会で話していたんだけど、聞こえなかった?」

「き、聞こえましたけど。今日、休憩スペースで照れたような顔をしている並田さんの肩に手を置いていたじゃないですか」

ここまできたら、もう言ってしまえ。そう決心して発したのに、藤麻さんはさらに笑うから居た堪れなくなってくる。
わたし、そこまで笑われるようなことを聞いてる?

「あのとき俺は、兄さんのことを好きな穂乃恵さんのことを励ましてたんだよ」

「励ましてた……って、えっ!?」

彼の言葉に驚いたわたしは、目をぱちぱちとさせる。
並田さんは、春伸さんのことが好きなの……?

「穂乃恵さんは兄さんのことを高校のときから好きで、就職も兄さんのことを追っかけてうちの会社に入ったらしい。もう十年以上兄さんのことを想っているのに、なかなか気持ちが伝えられないようでさ。俺に話しかけるときはだいたい兄さんのことも話すことが多いんだよ、あの人は」

そうだったの? 穂乃恵さんが春伸さんのことを好きだと聞いて、ほっとしたわたしは体の力が抜ける。なんで安心しちゃてるのよ。

「彼女も三十歳だし、最近焦っているらしい。兄さんは『社内の女と付き合うつもりはない』と言っているらしくて、悩んでたからさ。兄さんも穂乃恵さんのことは嫌いじゃないはずだから、頑張れよって意味で軽く肩を触っただけなんだけど」

「だから並田さん、ちょっと照れた顔をしていたんですね……」

「穂乃恵さんと俺がなにかあるかもって、落ち込んだ? 悪いな、誤解させて」

「お、落ち込んでません!」
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