クールな部長とときめき社内恋愛
楽しそうに話をする男女のカップルとすれ違い、同じようにこの通りを晃久さんとわたしも歩いていたことを思い出して切なくなった。

ダメだ、やっぱりまだ晃久さんのことを考えると少し苦しい。
しっかりしろ、と心の中で自分に言い聞かせながら晃久さんと行ったレストランのそばを通ったとき、向い側から歩いてくる男女を見つけてわたしは立ち止まった。

黒髪の綺麗な女性の隣で優しく微笑んでいるのは、晃久さんだ。
スーツを着ているから、仕事帰りだろうか。姿を見るのは別れた日から約二ヵ月ぶりで、最後にレストランで待ち合せたとき彼は申し訳なさそうにわたしを見ていた記憶がはっきりと残っている。

晃久さんが穏やかな笑顔を向けている相手の女性は誰?
膝丈のスカートにブラウスを着た清楚な人で、年は晃久さんと同じくらいだろうか。

もしかして、もう新しい恋人がいるの……?

わたしは佇んだまま、段々と近づいてくるふたりを見つめていた。
結婚を意識し始めたから別れてほしいと言った晃久さんの隣にいるその女性は、彼が結婚したいと思う人なのかな。

美人で晃久さんとの年齢差もなくて、わたしなんかより大人の考えを持っていそうな人。
比べれば彼にとってわたしが結婚対象外だったっていうことを思い知る。

そうか、こういう人に晃久さんは本気になるんだ。
だけどわたしは、彼との出会いを運命だって思っていたんだよ。
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