昼下がりの情事(よしなしごと)
「……おい、佳祐今どこにいる?」
LINEの通話で、親友の佳祐を呼び出す。
ラッキーなことに、新婚の佳祐&香里夫妻は、和哉がいた某ホテルの近くにあるショッピングモールで買い物中だった。
「美咲の離婚届出すから、証人になってくれ」
和哉がいきなり言うと、
『……えらい急な話だな……で、そんな大役、おれなんかでいいわけ?』
「ああ、向こうはだれでもいいって言ってた」
『……だからって、おれかよ』
スマホの向こうで、佳祐が脱力していた。
『わかったよ、書くよ……でもさ、印鑑いるんじゃね?』
つい最近、離婚届とは「親戚」の婚姻届を書いた佳祐が指摘した。
『ネームペンは持ってるけど……確かシャチハタはダメだったよなー?』
傍にいた香里に尋ねる気配がする。
すると、『貸して』と声がして、
『……和哉くん!美咲、離婚届出せるの⁉︎』
佳祐に代わって、香里が出てきた。