昼下がりの情事(よしなしごと)

六月に開かれた佳祐と香里の結婚式の二次会に、和哉は美咲を連れて行った。

そのとき、美咲と香里がとたんに意気投合したのだ。

ふんわり(ぼんやり?)清楚系の美咲とサバサバ(毒舌?)ゴージャス系の香里では真逆のように見えるが、なぜかウマが合うらしい。

今では「かおりん」「美咲」と呼び合う仲で、「女子会」と称して二人で遊びにも行っていた。

『……あたしが、美咲の「親友」として、証人になるわ!』

香里は宣言した。もう、だれにも止められない。

『だいたい、佳祐ったら緊張して、婚姻届を何度も書き間違えるのよ⁉︎ 実はあたしと結婚したくないんじゃないかって思ったわよっ!』

……えらいヤツに頼むとこだった。一枚しかないのに。

『印鑑も持ってる!新田(にった)はもちろん、仕事で使ってるから旧姓の長澤(ながさわ)もあるわっ! 』

……いや、戸籍名の「新田」でお願いします。

< 51 / 88 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop