昼下がりの情事(よしなしごと)
「……で、おまえら、結婚式どうすんの?」
能天気な佳祐がアイスコーヒーにミルクを注ぎながら訊いた。
「……そういうの、もういいかな、と思って」
再婚になる美咲が言った。
「うちの両親も来そうにないし」
前の結婚も反対を押し切ったにもかかわらず離婚してしまい、今度は再婚禁止期間が明けたらすぐに入籍しようとしているので……いや、美咲自身は来年の三月半ばの自分の誕生日あたりがいいかなと思っていたのだが、和哉が到底待てなかった。
美咲は実家とは絶縁状態になっていた。
両親がとにかく会ってくれないので、さすがの和哉の伝家の宝刀「最敬礼」も抜けぬままになっている。
和哉の方は離婚しているので、父親には連絡だけして、母親とだけ会った。彼女は再婚経験者なので、事情はすぐに察してもらえた。
「前のときはどんな結婚式だったの?やっぱり豪華にしたの?」
香里が尋ねてきた。
「結婚式やってないの。向こうが再婚だったし、別にいいかな、って思って。写真くらいは、って思ったけど、結局それも撮らなかったなー」
美咲が遠い目をしながら答えた。