遠い昔からの物語

◇第九話◇


警報解除のサイレンの音が余韻を残して、消えた。

わたしを守るために覆いかぶさっていた彼が、上体を起こして身を離した。

「……ごめんなさい」

わたしは迷惑をかけたことを詫びた。

入隊して、お国のために命を捧げることになっている人を、危険に(さら)してしまった。

「わたし、意気地無しでしょう……」

自分の不甲斐なさが、恥ずかしくて(たま)らなかった。

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