遠い昔からの物語

「……ただいま戻りましたけぇ……おや、今日も寬仁(ともひと)さん来とるん」

そのとき、勝手口から伯母の声がした。
帰ってきたのだ。

わたしは急いで「浅草紅団」を目の前の本棚へ押し込んだ。「花のワルツ」なら、こんなことはしなくてよいのだが。

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