遠い昔からの物語

海軍には「士官の結婚は大尉に昇進してから」という慣例があるし、海軍大臣の承認も必要なため、今すぐにとは云わない、とりあえず結納だけ済ませておけばそれで良いのだから、と喰い下がった。

父も母も、海軍中尉を姉妹で袖にさせる勇気はなかった。

こうして、わたしが間宮中尉に嫁ぐことが決まった。

でも、訓練で忙しく休暇が取れない中尉と会ったのは、見合いの日と結納の日の、たった二度だけだった。

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