*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
彼女の力なく言い放った言葉に、先輩はまた謝りかけるが慌てて口を閉じやるせない顔で視線をそらした。

その後しばらく気まずい雰囲気が二人を包む中、私も切なさにどうしようもなく胸が締め付けられる。

手離す以外どうすることも出来ないと悟った彼女の悲しみが、痛いくらい理解出来て胸が痛くて痛くて堪らない。

悲しみを必死に微笑み塗り潰す彼女の姿に、あの遠い記憶と気持ちが瞬く間に甦ってくる。

まるであの夜の私に同化してしまったと感じるほどに……。

大好きで堪らなかった先輩への想いを、無理矢理封じる以外なす術がなかったあのクリスマスイブの前夜。

気持ちを伝えることさえ出来ず、降り積もる冷たい雪の中で泣きながら凍らせた悲しい想い出が、容赦なく降り注いでくる。
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