*Dear……*~ハイスペック男子と甘いLove Storyを~
私は、しっかりと俯き、バッグからティッシュを取り出し涙と鼻を拭うと、先輩のお礼の声が聞こえてきた。


「私こそ本当にありがとう。海斗さんの優しくて誠実なところ大好きだった。……本当は、好きな人いるでしょ?」


彼女の確信めいた問いに、先輩は見るからに図星といった顔を見せた。

そしてすぐに"参った……"という顔をする。


「……忘れられない子がいる」


先輩の低く切なげな声に、彼女と同じく私の胸までもが悲しみの声を上げる。

でも今じゃない……この痛みは、あの頃の私の痛みだから。

私は、自分にそう言い聞かせて必死に平静を装ってみせる。

別に目の前に類がいるわけでもないのに。


「なんとなくそんな気してた。……海斗さんなら絶対大丈夫だよ。だから早く伝えて幸せな恋愛して」


「……ありがとう」


彼女は、先輩の微笑みながらの心からのお礼に、少しだけ膨れ面を返す。


「やっと笑ってくれたと思ったら……悔しい! でも大好き! だからバイバイ」


そして最後にとびきりのフェイクスマイルを残し、颯爽と玄関へと向かって行くのだった。
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