ライアーピース
Piece12







歩夢と付き合い始めて、
どれくらい経つんだろう。


気付けば高校生活最後の1年も
それとなく終えて、私は大学生になっていた。


由紀乃は声優になる夢を追いかけて
専門学校に。


もともと絵が上手かった唯は美大に。


中島と私は同じ大学に、


そして歩夢は大手企業の会社員になった。



私と歩夢は、未だに交際を続けていた。


もうすぐで2年が経とうとしている。


私は今でも、高校時代の頃を思い出す。


歩夢がいてくれるおかげで、
私は陸のことを少しずつ忘れられるようになった。


歩夢といると、楽しい。


嫌なこともすぐに忘れさせてくれる。


歩夢の告白を受け入れたのは、
やっぱり正しかったのかもしれない。


私はあれから泣くこともなく、
常に笑顔の毎日だった。


会社員になった歩夢は前ほど
一緒にはいられないけど、


いつも仕事帰りに私と会ってくれる。


いつものようにおどけて見せては、
私に面白おかしい話を聞かせてくれるし、
休日になると色んなところへ
連れて行ってくれた。


あんなに男っぽかった私が、
今となってはすっかり女の子に。


それもこれも、全部歩夢のおかげだ。


最初こそ、歩夢に陸を重ねてみては
歩夢を傷つけてきたけど、
今は本気で歩夢を好きになっていた。


歩夢といると楽しい。


歩夢がいて、中島や由紀乃とも
定期的に会って、


4人でいられることが嬉しかったし
幸せだった。


そんな時だった。


私の中の歯車が狂い出したのは。





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