ライアーピース
Piece14



左手薬指をまじまじと眺める。


シルバーに光り輝くそれは、
存在を主張しているかのように綺麗に光っていた。


嬉しくて舞い上がる自分がいた。


隣で寝ている歩夢の左手薬指にも、
同じシルバーがキラキラ光っている。


改めて見ると、
歩夢の手って大きいんだなぁ。


大きくて細い手。
私はそっと歩夢の左手薬指に触れた。


「んー?もう朝?」


「うん。ごめん、
起こしちゃった?」


「全然。今起きる・・・」



まだ眠たそうな歩夢を見ると
頬の筋肉が緩む。


「んー。若葉ー」


「なあに、歩夢」


「おはようのちゅーは?」


「へ?ちょ、ちょっと歩夢!?」


私が慌てていると、歩夢はぐいっと
身体を起こして、ふいにキスをした。


「なっ・・・歩夢!」


「はは。怒ったー」


今日はやけに子供っぽい。
どうしたんだろう・・・。


私が心配そうに歩夢を見ると、
歩夢はくすくすと笑った。


「あはは。からかいすぎたかな。
ごめんごめん」


「からかってたの!?」


「だって若葉、指輪買ってから
ずっとぎこちないんだもん」


「だ、だって・・・っ」



・・・恥ずかしかったから。


婚約指輪なんて、
私には縁遠いものだと思ってたのに、
まさかこんな形でもらえるとは・・・。


私が照れ隠しにベッドから起き上がると、
歩夢も起き始めた。



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