フェイク　アフェア　～UMAの姫と御曹司～
ショックだった。
ストーカーは二人いた。

私は圭介に連れられて実家に戻った。

5年ぶりの実家は安心できる場所のはずだった。

でも、悪夢は終わっていなかった。

実家に戻って１ヶ月もしないうちにまた怪しい郵便物が届くようになった。

私の盗撮写真だ。
また自宅にこもるようになり、私の心は悲鳴を上げていた。
もちろん、圭介や両親が警察、弁護士、興信所などに手をまわしたけれど事態は変わらなかった。
今度は犯人がわからないのだ。

部屋から出ない生活になって私は衰弱していった。

見かねた圭介から一つの提案があった。

別人として生活することだ。

私の派手な外見だけでなく、名前も変えて暮らす。
圭介の庇護のもとで圭介の恋人の『桐山絵瑠』として。

それは圭介の生活を犠牲にすることだったけれど、圭介はそれより私の心が壊れていくことの方が嫌だと言った。
２人で協力して生きていけばいいと言ってくれた。
まだナースとして働きたかったし、私は圭介にすがってしまった。

それからは地味なメイクにウイッグ。カラーコンタクトをして目立たないように暮らしていた。

だから、昨夜如月先生の口から『ノエル』の名前を聞いた時にまた心が凍りつくほどの恐怖を感じた。

「どうして、どうして私なの？私が何かしたの？
私のことが許せないって思うような何かがあるの？
私は普通に暮らすことも許されないの？
私がいるだけで家族に迷惑かけているのに、今度は井原さんに迷惑かけようとしている。そんなことしてもいいの？
また何かが起こるんじゃないの？」

私は一気にまくし立てていた。
気が付かないうちに涙が流れていた。

そんな私を抱いたまま井原さんは黙って話を聞いてくれている。
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