フェイク　アフェア　～UMAの姫と御曹司～
うーん、これはかなりまずい。

どうしようかと考えていると、廊下に女性の話し声が聞こえてきた。

ドアらしき壁をどんどんと叩いた。
「すみません！どなたかここを開けて下さい」

外から「え？」とか「何？」「誰かいる」とはっきりと声が聞こえた。

「すみません、ここから出られなくて困っています。開けていただけませんか」
話しかけると「今すぐ開けますね」と返事があってほっとした。

すぐに鍵を開ける音がしてドアが開いた。
廊下を通りがかり鍵を開けてくれたのは昨日の常務秘書の坂本さんと秘書室のスタッフだった。

「安堂さん！どうしてこんな所に」

出てきた私を見て目を丸くしている。

「ああ、助かった」

２人は床にジュースが転がっているのを見つけてどうしてだろうとドアに近づいて来たらしいのだ。

「本当に助かりました。どうもありがとう」

頭を下げてお礼を言った。

「あの、今のこれって、安堂さんが物品庫に閉じ込められていたんですよね。大問題じゃないですか！専務に報告しましょう」
坂本さんがすぐに修一郎さんに連絡しそうな勢いだったので、慌てて止めた。

「あ、あの私から連絡しますから大丈夫ですよ」

「でもっ」

「本当に大丈夫です。ごめんなさい、心配していただいて。ありがとうございます。専務の執務室に戻って連絡しますね」

修一郎さんに今、連絡を取られると困る。
私を心配して今すぐ帰って来ようとするからだ。

仕事をしているのだし、天気も悪い。
こうして無事だったのだから、修一郎さんに無理はして欲しくない。

また頭を下げて戻ろうとするともう１人の女性から
「安堂さん、これ」
と私が落としたジュースとスマホを渡された。

あっ。

そういえば、ジュースを買いに来たんだっけ。

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