恋愛ノスタルジー
「愛し方は一種類じゃないだろう?」

圭吾さんのこの言葉が私の心をグルグルとかき乱した。

「……」

人の愛し方は一種類じゃない……。

胸の中に、霧のような薄い膜が漂い、まとわりつく。

……苦しい。凄く苦しい。

その時ふと思った。

圭吾さんは苦しくないのだろうか。

愛する花怜さんがいながら、私と結婚しなきゃならないのに。

「圭吾さん、圭吾さんは大丈夫ですか?」

圭吾さんが少しだけ眉を上げた。

「花怜さんを愛してるのに、私なんかと……。あなたは凄く素敵で、私にはもったいない人だわ」

「彩、」

言いながら泣けてきて、私はグズグズと鼻をすすった。

ダメ。私ったらまたメソメソして。こんなの余計に圭吾さんに嫌な思いをさせてしまう。

だから私は無理矢理笑った。

「圭吾さん、ありがとう。慰めてくれて。正直に言うとお鍋を二人で食べるとか嫌だったんだけど、食べて良かったです。買い物も楽しかったし……」

その時、クラリと目眩を感じた。

「彩?」

「大丈夫です……私はもう大丈夫……痛っ……」

「こら、ここで寝るな」

ゴン!と額がテーブルにぶつかって、私は慌てて身を起こすと圭吾さんに微笑んだ。

「大丈夫です……眠い」
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