御曹司様はシンデレラを溺愛する

「どうして?」わかったの?


「出会ってまだ短い時間ですが、何故だかあなたの考えている事がわかってしまうのです」


怖いわ。


「この出会いは運命的なものを感じますね」


なんて事を言っている。


こっちは、運命なんて感じない。感じるのは、あそこにある料理を食べたいという食欲だけよ。


普段、質素な生活を送っているのだから、こんな時でしか豪華な食事に出会えないのよ。


どうしたら1人になれるか思案していると、目の前の彼は不敵な笑みを浮かべた。


「いいでしょう。1人きりにさせてあげますよ。た、だ、し、僕の視界の中にいてください。勝手に誰かと出て行ったり、1人で消えたらどうなるか覚悟していてください」


優里亜、どうしよう。
とんでもない人に出会ってしまったよ。


私、一体どうなるの?


不安でしかない。


兎に角、今は豪華な料理だ。


食べながら、考えよう…


「ありがとうございます」


ニコッと笑い、テーブルに向かうはずだった体が引き戻されている。


繋いでいた手が、離れていなかったからだった。


「僕より料理を選ぶ女性はきっと、あなただけでしょうね。初めて料理に嫉妬していますよ」
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