御曹司様はシンデレラを溺愛する
至って平凡な顔に、平均より少し低い身長、スタイルだって普通だ。少し、皆より胸が大きいとは思うが、まぁ、着物を着ているからわからないだろうし、お気に召して頂けるところなんてないに等しい。
それに、私は身代わりでここに来ているのだから、彼に気に入られたまま一緒にいて、お見合い成立なんて事になったら大変だ。
やばいやばい。
彼の甘いセリフに蕩けてなんていられない。
しっかりしろ、姫花。
自分を叱咤して笑顔を作る。
「そう言って頂けると嬉しいです。ですが合同お見合いでしょう?私は、他の男性ともお話してみたいのです」
これでどうだ。
男として、プライドが傷ついたはず。
彼の表情が、一瞬、険しくなったそれを見逃さなかった。
そう、傷ついたでしょう!
どうぞ他のお嬢様のところに行ってください。
私を1人きりにさせて…
そして、あそこに並んでいる料理を食べさせてよ。
そう、笑顔のまま心で呟いた。
「あなたの心の声が聞こえていますよ。私をわざと不快にさせて1人きりになりたいとね」
うっ…
「差し詰め、テーブルの上に並んでいる料理を堪能したいといったところでしょうか⁈」
まぁ、それも本音です。