御曹司様はシンデレラを溺愛する
はじめ、秘書にフォーユーという会社に彼女がいるか確かめさせた。
だが、個人情報云々で教えられないと言う。
興信所に依頼したが、調査書類が届くまでの時間が惜しい。
それならばと彼女が働く派遣会社と麻生の名前を使い契約を結び、彼女を探った。
流石に、住所や電話番号は本人の許可なく教えられないと言うので、彼女が清掃員として派遣されている場所を教えてもらった。
どこにいるかもわからないのに広いショッピングモール内を探そうと車から降りると、警備員に呼び止められた。
黒塗りの高級車が、運転手付きで正面に止まれば何事かと思ってやって来たのだ。
「本日は、どのようなご用でこちらに来られたのでしょうか?」
女を探しに来たとは言えないから、曖昧に誤魔化す事にする。
「僕は、麻生と言いまして、ホテルリッツの役員をしています。今回、個人的にこちらに興味を持ちまして、立ち寄っただけなので驚かせてしまい申し訳ございません」
そう言い終わった時には、人垣ができていた。
「麻生だって」
「私、見た事あるわ」
「私も、経済誌に載っていた麻生の御曹司よ」
そこで、歓声が上がる。