御曹司様はシンデレラを溺愛する
優里亜は、卒業後花嫁修業中と名目でパーティーに参加させられているが、お金も時間も自由にあるのがうらやましい。
加藤家にふさわしいお婿様を見つけるミッションをクリアすればいいのだ。
ダーリンは、おじ様のお眼鏡に叶うまでまだ時間がかかると判断する優里亜は、のらりくらりとパーティーに参加しておじ様の目をごまかしてきた。
だが今回、合同お見合いとは…おじ様も痺れを切らし強固手段を使ってきたようだ。
私だって、家に戻る気はあった。
でも、自由な生活を知ってしまうと、またあの傲慢な父に支配される生活には戻れるはずがなく、戻らないと告げた途端に仕送りが止まってしまい、就職活動をしていなかった私は、アルバイト生活をしながら現在は就職活動中。
そんな私には、30万円なんて大金でしかない。
「30万…」
「そう、30万よ」
「…身代わりに、なる」
「交渉成立ね。はい、着物とアルバイト代」
既に用意周到に準備されていたらしく、テーブルの上に風呂敷に包まれた着物と少し厚みのある封筒がポンと出てきた。
優里亜は、『頼んだわよ』と、にこやかに笑いしたり顔でいるが、受けてしまった私は、直ぐに後悔していた。