最後の恋 〜 eternal love 〜
覚悟を決めてきたとは言え、あまりに凄すぎるお屋敷にヒールを履いた足がガクガクと震えそうになる。


隣に立つ彼が、支えてくれなかったら回れ右をして帰ってしまっていたかもしれないと思った。


玄関まで出迎えてくれた彼の母親は、とても若くて綺麗な大和撫子のような和服美人だった。


「母さん、ただいま。」

「お帰りなさい。」


そう言った彼女は、私にその笑顔を向けると


「杏奈さんね。礼央に聞いてから楽しみにして待っていたのよ。どうぞ、中にお入りになって。」


と優しく声をかけてくれた。


どんな怖そうな母親が出てくるんだろう…内心そう思っていたので、柔らかな雰囲気の彼の母親に少しだけ緊張の糸が緩んだ。
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