最後の恋 〜 eternal love 〜
「体、辛くない?」


突然かけられたその言葉に、今は上司であるはずの彼を見る。


「ここ最近は色々重なっただろ?出張に、結婚式への参列、おまけに週末はほとんど寝かせてあげられなかったし。」


と私たちのあの週末の夜を思い出させる事を言う彼に、職場であることを一瞬忘れかけた。


「…専務、ここでのその発言は、セクハラ…」

「にはならないよ。大事な秘書の体を心配しているだけだから。」


そう言って椅子から立ち上がると机を回り込み、私に近づいてきた。


彼のその目に捕らえられてしまうと、もう逃げることなんて出来ない。


ただ彼と目を合わせたまま、困ったふりをして彼を待つ。


心のどこかでは何かが起こることを期待している自分がいるのだ。


きっとそれも全て彼には見抜かれている。


彼は私の手からお盆をそっと抜き取ると、机の上に静かに置いた。
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