国王陛下の極上ティータイム
ブランさんは一つ呼吸を置いてから茶をテーブルに置く。

それを見た王太后は「そうね、折角茶を持ってきてくれたものね」と思い出された様子だった。

テーブルに置かれたティーカップからはいい香りが湯気と共に立ち上ってくる。

ティーカップ自体にも色鮮やかで細かな絵や金箔があしらわれており、オルレアンで使っている物よりずっと上物であることが分かった。きっとこの国でいちばんに高級なカップに違いない。


「今日の茶は?」

「キームのミルクティーでございます」


王太后は優しい色の茶を優しい瞳で見つめながら「そう」と匂いを楽しまれる。


「キームをミルクティーに」

クラリスは小声で呟いてカップを持つと近づけて匂いを嗅ぐ。

優しいキームの香りがふんわりと広がる。

王太后がお飲みになったのに続いてクラリスも口にする。


「…美味しい」

それは心からの言葉だった。

キームは癖のない茶。言い換えれば、これといった特徴のない茶だ。

だからこそ果物の風味を生かすグレーズには合うのだが、ミルクティーにするとなれば話は別。

ミルクティーに合うのはジルダやアーサなど独自の味わいのあるものというのが通説だ。

だからこそキームをミルクティーにするだなんて、今まで聞いたことがなく、試そうと思ったことすらなかった。


初めての茶に驚いているクラリスに、「キームのミルクティーは口に合わなかったかしら」と王太后は尋ねた。

クラリスは慌てて「いいえ、とても美味しゅうございます」と答えた。


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