国王陛下の極上ティータイム
無用な争いを避けたということは、その分民の命を救ったということ。

ランティスとフォルスト王の決断は、この国の民の命を、そしてフォルスト国の民の命を救う英断だったのだ。

「どうやら騎士団達はフォルストと共に戦うらしいな」

「そのようですね」


「それがちいっと不安でもあるがな」


それはクラリスも同意見だった。

もしかしたら敵国と大きな争いに発展してしまうかもしれない。この国にもっと大きな脅威が、悪夢のようなことが起こるかもしれない。


「けれど、きっと大丈夫です。

この国にはランティス様がいらっしゃる」


湧いてでてくる不安の数々を、いとも簡単に吹き飛ばしてしまえるほどに信じられることがクラリスにはあった。

ランティスが国王としてこの国を治めていること。こんなにも誰かを思い行動できる国王はそういないからだ。

ランティスが国王であるのなら、どんな状況だって乗り越えていけるのではないかと無条件に思えてしまう。きっと最善の道を選んでくれる。そんな信頼感がある。

クラリスの言葉に店主も頷いた。


「あの方が国王で良かった」


この言葉をランティスが直接聞くことができたらどれだけ良かっただろう。

きっとどんなことよりもランティスが一番に喜ぶことだろうと、クラリスはまるで自分のことのように嬉しく思った。


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